「Mewcketには変わった人が多い」。ライターインターンとして働き始めて3ヶ月、つくづくそう思う。タイで7年働いていた人がいたり、毎日俳句を詠む女子大生がいたり。
今回、インタビューしたライターインターン生、木嶋弓子さんも、そんなMewcketの変わり種の1人。東京大学卒業後もMewcketでインターンとして働き続け、遙か彼方の北欧の国・エストニアでの就職を目指している。
学生時代、日本の「おもてなし」に怒り、エストニアに惚れた彼女が、なぜMewcketで働くことになったのか? 夢追うインターン生に迫る。
ゲストのプロフィール:
木嶋弓子:Mewcketのライターインターン生。2018年3月に東京大学教養学部を卒業。在学時は東大生によるオンラインメディア『UmeeT』の編集部にて編集企画・ライティングを担当していた。現在はエストニア就職を目指し、エストニア産Skypeを駆使して就活中。飼っている柴犬の名前は「しば」。
――まず、木嶋さんがMewcketに出会った経緯を聞かせてください!
「HAIT」っていう、AIを学ぶ学生団体が東大にあって、そこで学生向けのPythonを学ぶコースを受講してたんです。そうしたら、インターンを募集してる企業と受講生とのマッチングイベントが最後にあって。そこで小林さん(Mewcket・CEO)と太田さん(CTO)に会いました。
――エンジニア向けのイベントがきっかけだったんですね。では、なぜライターに?
実は、受講期間がちょうど卒論を書く時期だったからPythonのほうはめっちゃサボっちゃってて(笑)。だからプログラミングは身につかなくて…。あと、大学でUmeeTっていうwebメディアの編集部にいたのもあって、書く仕事のインターンをしたいな、と。
――イベントには様々な企業が訪れていたんですよね。その中でMewcketに興味をもったのはなぜですか?
小林さんとそのイベントで話したときに、「うちはスタートアップだけど、定時になったらみんないないし、どれだけ長く働いたかっていうより、効率を重視している」って言ってたんです。それですごくMewcketに惹かれたんですよね。そういう会社ならインターン生にも劣悪な環境で働かせたりしないだろうなと思って。実際に、リモートワークとかもOKだし。特にスタートアップだと「やりがい搾取」みたいなのも心配だったから。
それと、もともと日本の働き方の問題にすごく興味があったのも大きいかな。2015年に、大手広告代理店の新入社員の女性が過労死自殺した事件がありましたよね…。あの事件で遺族代理人をされた弁護士と、自殺した女性のお母様が学祭に講演をしに来て。それを参考にしながら、日本のおもてなしについて問題提起した記事を書いてUmeeTに載せたりしたんです(その記事がこちら)。だから、労働時間でなく効率を重視する働き方を会社で実践してるところが素敵だなって思いました。
――実際にMewcketでライターインターンを始めて、やって良かったなと感じる瞬間はありますか?
AI EXPO (2018年4月に東京ビッグサイトにて開催された、AIを扱う企業の展示会)で、エストニアにある企業『NEUROMATION』の人たちに突撃取材できたこと! アポとか一切とってなかったのに、その場でいきなり取材に応じてくれたんですよ。その企業のアイデアはものすごく新しかったし、話をしてくれた人たちも情熱的でおもしろい人たちばっかりで。2人とも熱量が普通じゃないんです(笑)。自分のやってるビジネスにそれくらい情熱をもてるのっていいなあと思いました。そういうおもしろい人たちと直に話してたくさん質問できるのは、ライターの特権ですね。
――ライターという仕事にもやりがいを感じていると思うのですが、現在はインターンの傍ら、エストニア就職を目指して現地企業の面接を受けているんですよね。なぜ、エストニアなのでしょう?
大学生のときに2回行って、エストニアっていう国が私にとっての理想だなと思うようになったんです。正直、国名を聞いただけじゃどんな国なのかイメージできない人も多いと思うんだけど……。
実は「電子国家」って呼ばれるくらいIT化が進んでて、政府の方針が電子化という方向に向かってしっかり定まってるんですよね。人口は福岡市と同じくらいのすっごく小さな国で、国そのものがスタートアップみたいな雰囲気なんです。政府にも、実現が難しそうなことを軽々と始めちゃう人がけっこういて。たとえば、電子居住権っていう制度を導入したり。
それから、やるべき仕事はきっちりやるけど過剰なおもてなしがないところも理想どおりだなって思ったんです。私、昔スーパーでバイトしてたんですけど、おかしいって感じることがたくさんあって。チップがあるわけでもないのに、笑顔とか多くのことを求められたり。しかも中には、お客さんは求めてないのに店長とか先輩の同調圧力でやってるだけのこともあったり。働いている人に対する期待が過剰すぎるとずっと感じてました。
そういうところがエストニアにはなくて、正直、店員さんの愛想はかなり悪いんですよ(笑)。でも、自分の仕事を放棄するということではなくて、やらなくちゃいけないことはちゃんとやってる。そのバランスがちょうどいいなって。そういうおもてなしのなさとか、先進的な取り組みを国がしているところから、「ここで働いてみたい」って思うようになりました。
――そうは言っても、実際に卒業してすぐに現地企業で働く決断をするのは勇気が必要だったのでは? 何が決め手になったんですか?
私がたまに行くコワーキングスペースがあるんですけど、そこのマネージャーに背中を押されたんですよね。その人は長野でコワーキングスペースをやる計画を立てていて、その話を聞かせてもらってたら、その後に「あなたは何がやりたいの?」ってきかれて。エストニアに行きたいって話をしてみたら、その人の反応が、今まで話したどの人とも違ってたんですよ。
――と、言うと?
なんか他の人は「へえー」みたいな反応ばっかりで(笑)。でもその人は、「やりたいことがあるなら、やったほうがいいんじゃない?」って。「やりたいことがある時点で、幸せだよ。それがない人もいるんだから」って。サラッと言われた言葉なのに、不思議なくらい勇気をもらったんです。正直、その頃にはもうエストニアに行くことは諦めかけてたんですけど、あの言葉で思い直せました。「やりたいことがあるのって、幸せなことなんだ」って思えるようになったんです。あれが大きなきっかけだったかな。
――エストニアに行ったら、どんなことをやりたいんですか?
現地のスタートアップで、日本市場に対するマーケティングをすることになると思います。向こうの企業が、日本人である私に求めるのはそこだと思うから。マーケティング自体にもすごく興味がありますしね。
あとはそこで、エストニアでの仕事の進め方を知りたいなと思ってます。エストニアに移住した日本の人と話すと、すごく意思決定が早いって聞くので、そういう環境に慣れたいなと。あと、ずっとエストニアにいるかはわからないので、他の国に行っても通用する人になりたいです。
――木嶋さんのエストニアレポート、めっちゃ楽しみにしてます! MewcketのSlackで「#エストニア」のチャンネル作ってください(笑)。
過剰なおもてなしに疑問を抱いていた彼女が選んだのは、生産性の高い働き方を追求するMewcketや、効率重視の電子国家・エストニアだった。
自分の気もちに忠実に、やりたいことを実現させていく彼女の姿は私たちに勇気を与えてくれる。